ブルーブラック【番外編】
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「それでは、娘共々、末永く宜しくお願い致します。長野に来た際には是非我が家にも足を運んで下さい」
「こちらこそ!いつでもお待ちしてますから」
お互いの父がそんな挨拶を料亭前で交わすと、智が百合香に耳打ちをしてきた。
「百合香、今日はご両親と過ごしておいで」
「えっ?」
「まだ時間はあるし、百合香は明日休みだろう?ホテルもなんとかなるだろ。東京案内してあげたら」
智の気遣いに百合香は胸が熱くなってなぜだか目が潤んだ。
そして、しばらく振りに会う両親と過ごせると思う反面、約1日智に会えないのが淋しいと思ってしまった。
「父さん。車鍵開けたから」
智が英治に声を掛け、百合香から離れた隙に朱美がすっと百合香に近付いてきた。
「百合香ちゃん、これ私の名刺!」
「あ、ありがとうございます!」
「近々、またね」
(近々?)
朱美は一方的に話終えて赤い車に乗り込むと、裕美を乗せて二人、先に車を出して行った。