ブルーブラック【番外編】

「場所位選べよ」
「あーはいはい。私のミスでしたー!百合香ちゃんがメールしたのね?」


大きな溜め息と共に少し苛立ち気味で朱美にそういうと智は百合香に近づいた。
姉一人がさっきみたいな状況になったのなら呆れて終わりだが、今回は違う。百合香が一緒だから、自然と苛立ちも出てしまったのだ。


「百合香、大丈夫か?」
「あ、は··い····」
「!!」


ふらりと智の方に体を傾ける百合香は既に酔っていて、いつもは寝てしまう百合香が目を開けているのが珍しい位だった。恐らく智の姉と一緒というだけで気を張っていたのだろう。
そして智を見て安心したためか、すぐにその目は閉じてしまった。
そんな百合香を支えて智はまた溜め息をつく。


「姉さん、自分のペースで飲ませただろ···」
「あ··つい」


そんな一部始終を立ったまま見ていた椿に気が付いたのは智だった。
ひょいと眠った百合香を抱え上げて椿を見た。


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