一生を捧げた人

壊れた家族

『遥奈はお母さんの大事な娘よ。大好きよ』
『遥奈が結婚したらお父さん寂しいな。遥奈は宝物だ』そう言ってくれる家族はもういない。私たちはそんなものだったんだ…家族の絆ってそんなに簡単なものだったんだ。
昔みたいに楽しい毎日は送れないの?
前みたいに仲良く4人で旅行いったりできないの?
そんなことで頭が一杯一杯だった。

家族が壊れ始めたのは私が中学1年のとき
父が毎日のように残業ばかりで帰りが遅い度に喧嘩ばかりしていた。
酷いときには
食器や家にあるものなどを投げつけ合い、私はその物音にビックリし
毎晩布団で泣いて脅えていた。毎日泣く私を兄は優しく抱きしめくれた
抱きしめられる度に
『大丈夫だよ。きっと前みたいに戻れるから』
そう言ってくれた。
何の根拠もなく言ってるのに何だか落ちついた
頭のどこかでは戻って欲しいって思ってる
でも現実を見ると戻らないのがわかる。
兄はそんな毎日に疲れたのか毎日友達の家に泊まっては、家にすら帰って来なくなってしまった。
あんなに私を守ってくれた兄はどこに行ってしまったのか…もう前の兄はいないある時父と母は離婚した
愛し合って結婚したんじゃないの。愛し合ったから私や兄が生まれたんじゃないの?
中学の私には理解できなかった。
















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