結婚白書Ⅱ 【恋する理由】


玲子先生のお母さんと 工藤君のお母さんが同級生で

事故当時から 玲子先生のご主人にもずいぶん相談に乗ってもらった

そう話していた



「親父の体調が落ち着いて なんとか立てるようになった

それで 俺も仕事を紹介してもらったんだ」



そして 私と出会った



「円華さん 会社に入った頃 俺の面倒をよく見てくれたよね

憎まれ口ばっかり言ってたけど 本当にありがたかった

真っ直ぐで 曲がったことが嫌いで 文句を言いながらも

親身になって助けてくれたよ

円華さんとしゃべってると 俺 ほっとした 

会社に行って 円華さんを見つけると嬉しくて 話しかけてた・・・」



夜は お母さんと一緒にお父さんの介護

昼は仕事

週末はお姉さん夫婦が替わってくれるが 体も心も休まらない



「釣りを教えてくれたの 玲子さんのご主人の冨田先生なんだ

家族の事ばかりに没頭するなって 自分の時間も持った方が良いぞってね」



彼の一部分しか見ていなかった

自分だって いっぱしに苦労してきたと思っていた

今頃になって彼の優しさが身にしみてきた


ぶっきらぼうだけど 温かくて

強引だけど 細やかで


こんなに彼に惹かれてることに 今頃気づくなんて・・・



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