結婚白書Ⅱ 【恋する理由】


冨田玲子先生

大学病院勤務の外科医のご主人の間に 二人のお子さんがいる



「結婚して家庭に入ったんだけど やっぱり仕事がしたくてね

ここの産業医だったら時間が自由になるの 助かるわ」



私と同じ歳ということもあり 気安い関係

そして 理解のあるご主人に子ども達を預けて

時々 二人で飲みにでかけたりもする



「玄関で転んじゃって 足 捻挫かなぁ」



足首も痛いが それ以上に気になる工藤君の行動

会社中に いい話題を提供しちゃったなぁ

うわぁ 恥ずかしい・・・



抱き上げられて 顔を上げてられなくて 彼の胸に顔を埋めて

男っぽい香りがして 腕なんて思ったより太くて 堂々としてて・・・


私 何考えてるんだか 



「まどちゃん」



玲子先生の声に ハッと我に返った 



「捻挫だと思うけど 念のためレントゲンね 

でも これじゃ当分歩けないわね また 工藤君を呼ぼうか?」



先生は ”やめてー!” と否定する私の反応を楽しんでいる

玄関から荷物を持ってついてきてくれた 後輩の女の子に

上司へ事情を話すように頼んで 病院に行くことにした



「玲子先生 工藤君を知ってるの?入社したばかりなのに 

親しそうだったわね」


「まぁね だって 彼に この会社を紹介したの私だもん」



玲子先生の口から 思いがけないことを聞いた





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