結婚白書Ⅱ 【恋する理由】
怪我がもたらしたものは・・・


検査で骨に異常はなかったが 右足首をひどくひねったらしく 

歩くのが困難だった

診断の結果・・・足関節外側靱帯損傷



「捻挫のひどいものですよ しばらく足を固定した方がいいでしょうね」



診察してくれた医師の言葉

固定するって?

湿布くらいですむのかと思っていたら ギブスに近い装備が施されてしまった




痛みもひどいので その日はそのまま退社した


当分車の運転も出来ない

右足だし アクセル ブレーキ どちらも負担がかかる

結局 会社を三日間休んだ




通勤手段の車は運転できない

バスは不便だし・・・お母さんに送ってもらおうかな

明日はどうやって会社に行こうかと悩んでいるときだった



「円華 会社の方からお電話よ 工藤さんっておっしゃったけど」



えっ? あの工藤君?

責任を感じて電話をくれたのかな・・・


彼が今回のケガに関係してることは 母には言ってない

仕事の用事の電話だと思っているようだった



「お電話かわりました 工藤君 なにかあったの?」



母親に聞こえるように わざと大きな声でしゃべった



「足の具合はどうですか」


「心配してくれてありがとう 靱帯損傷って言われて 

なんだか大げさにギブスみたいなのされちゃったわ 

でも 明日から出社するから 仕事もたまってるだろうしね」



照れ隠しに 言わなくて良いことまで喋ってしまう 



「あの・・・明日 朝迎えに行きますから」



迎えに来るって えぇーっ!



「あのね ケガはあなたのせいじゃないのよ そんなに責任を感じないで」


「そんなんじゃありません でも ちょっとは責任を感じてます 

だから・・・」


「だからって 本当にいいの 大丈夫」


「本当に大丈夫なんですか?広川さんの住んでるところ 

バス路線から離れてるじゃありませんか」


「どうして・・・」


「庶務課で聞いたんです 広川さんの家がわからないと迎えに行けませんから」




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