本能で恋を
こんな事をしているのも、ある1人の男が原因である。
その男に出会ったのは、親同士が勝手に決めたお見合いの席だった………
「……はい?何だって?私、耳が悪くなったみたい」
一般家庭の夕食の席。
今日は早めに帰ってきた父が居るので、父・母・私の3人での食卓だった。
「だから~、父さんと母さんの友人の牧野夫婦知ってるだろ?」
お父さんの言葉にコクンと頷く。
うちの親と牧野さん夫婦は高校の時の友達らしく、今でも連絡を取り合っている。
私は、チラッとしか見た事無いし、電話の取り次ぎするくらいだが、親たちの会話から牧野さんの名前が出てくるのも珍しくない。
「こないだ、牧野と話す機会があって、そろそろお互いの子どもをお見合いさせようかってなってな」
「ちょっと待った!お見合いさせるって何!?」