恋物語
何だろう。
見れば、ほとんどの女子生徒が窓に張り付き、黄色い声援を張り上げていた。
「ちっ、うるせぇな」
「玲、舌打ちしない」
そうか、今日はサッカー部の朝練がある日だ。
ならこの声援の対象は……。
「境井琢磨」
椅子に肘を乗せ、頬杖をついた玲がつまらなさそうに言った。
「境井くん…有名ですよね」
「知らない生徒はいねぇだろ」
境井 琢磨
さかい たくま
サッカー部に所属している、クラスは違うけど、同学年の生徒だ。
かなりのイケメンで(私にはよく分からないけど)、たくさんの女子生徒から告白されているらしい。
ファンクラブまであるくらいだ。
「お陰様で、サッカー部にはマネージャーがいないんでしたっけ」
「そうそ。練習にならないからって」
苦労してるなぁ。
「面倒臭いよ。ほんと」
「………玲?」
珍しい。
玲が少し元気がなくなっている。たそがれてるというか、様子がいつもと違う。
明るさに曇りがかかっているみたい。