恋物語
「名前」
「え」
「お前の名前、何ていうんだ」
名前?
あぁそっか。
小野崎とか、文字数多くて呼び辛いからか。
「…亜紀です。小野崎亜紀」
そう答えると、藤堂くんは満足そうに頷いた。
でも、やっぱり目線を合わせてくれない。
………何で?
「行くぞ琢磨」
藤堂くんは境井くんの頭を一発殴る。わ、いたそ。
「……嫌い………嫌い………大嫌い……」
まだ引きずっているようだ。
本当に大丈夫かなぁ。
今にも泣きそうな顔してるけど。
そう思ってたら、急に頭に何かを乗せられた。
ん、何か?………手?
少し目線を上げれば、それは藤堂くんの手で。
そのままくしゃくしゃと撫でられる。
……大きな手。
不思議。……少し、あったかい。