Love Rose.


昼下がりの午後、食事も終えて、少し眠気に襲われる頃。


―本来ならば欠伸を噛み殺しつつ、穏やかにデスクで仕事を片付けているはずであります。が。


「…ったく、どこにいるのよっ?!」


水木すみれ、只今オフィスを爆走中。


―それは、遡ること数時間前。


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――――――――――


『専務、本日は午後から役員会議がございます、が…』


『はい、そうでしたね。なにか、問題がありましたか?』


『いえ、なにか資料や準備などは必要ないのでしょうか』


ただ、役員会議があると知らされただけ。


『…あぁ、心配いりませんよ。会議という名のただのお茶会ですから』


『…は、お茶、会?』


『そうですそうです。だから気楽に構えてくださって大丈夫です』


と、いつもながら素敵な笑顔で話す専務。…はぁ、心臓が過剰に波打ってるわ。


……いや、いかん。今は仕事中。


だけど、本当にお茶会なの?


なんか怖いぞ。


なんて思いつつも、忙しさゆえに、抱いた心配は頭の片隅に追いやられてしまっていた。


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