Love Rose.
そう、だから。
事件は突然やって来た。
コンコンとドアを叩く音がして、どうぞと返事をすれば、入って来たのは秘書室室長。真中聡。
『失礼いたします』
『室長…。内線を頂ければ、私が伺いましたのに』
『いえ、大した用事ではありませんので』
いやいや、それでも。そうはいかないでしょう。
『午後からの、役員会議についてなんですが』
『!』
そうでしたそうでした。
私も聞きたかったの。
『高城専務は、今いらっしゃいますか?』
『?はい、いらっしゃると思います』
『なら、よかった』
ん?…よかったって、なにが?
『会議についてですが、通常通りなら、かしこまって参加する必要もないのですが、本日は少し…』
少し?少しなに?!
『…なにか、あるんでしょうか?』
怖いんですけど!
『会長が、いらっしゃるので』
『………』
なんだって?!
…あの、あの、いつぞやの入社式で『仕事って面倒臭いからね☆』なんて言っちゃったり、滅多に会社や会議に顔を出さなくて、お孫さんにメロメロっていう噂の、あの会長?!
『一大事…』