Love Rose.


温かな部屋に入って一息ついてから、周りを見渡してみる。


大きくて広い部屋。


重厚感のある扉や窓。


窓の外に広がるのは、美しい庭園。


足元にあるのは、手織りで丁寧に織られたであろう、肌触りの良い絨毯。


一枚の絵画に出来るような空間。


「お待たせ、すみれちゃん」


そう言いながら祖母が運んで来たのは、マイセンのティーセットと手作りのお菓子。


「ありがとう」


「いいえ、…久しぶりねぇ、すみれちゃんとこうしてお茶するの」


「そうだね。…ごめんね、中々来れなくて」


「なに言ってるの。気にする必要ないの。すみれちゃんが元気でいてくれれば、おばあちゃんはそれで十分なんですから」


「ふふ、うん。…ありがとう」


「さぁ、いただきましょう」


「うん」


カップに注がれた、あめ色に輝く紅茶の香りをたくさん吸い込んで、手作りのクッキーを頬張れば、記憶は昔へと戻って行く。




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