Love Rose.
「…はぁ、着いた、と」
あれから3日、重い腰をあげて向かったのは、親代わりとして私を育ててくれた祖母の元。
目の前に広がるのは、壮観な眺めの庭園に佇む、城のような家。
小さな頃から大きな家だとは思っていたけれど、久しぶりに見た今もつくづく大きいと感じる。
私は、どうして祖母がこんな大きな家に一人で住んでいるのかも知らない。
私って、なんにも知らない。
祖母の血筋が、母方なのか、父方なのかも知らない。
…なんにも、知らない。
このままじゃ、絶対いけない。
私、前に進んで行けない。
ーガラガラ
「…すみれちゃん?」
「おばあちゃん…」
「まぁまぁ、すみれちゃん!いつからここにいたの?どうして入って来ないの」
「ふふ、ちょっと、ぼーっとしちゃって」
「…そう、疲れたんでしょう、中へ入って、ゆっくりお茶しましょう?」
「うん。…ただいま」
「はい、おかえりなさい」
さっきまでの暗い気持ちも、緊張も、どうしてだろう、おばあちゃんの私を呼ぶ声で落ち着いて、心が温かくなって泣きそうになる。