奴隷戦士


「さてと、戻ろうか。そろそろご飯の時間な気がする」


満足そうに立ち上がって手を差し出す花ちゃん。


その手をつかもうとした時、思わぬものが視界に入った。


「…なにこれ?」


ちょうど彼女が座っていた場所に血のような色をした丸いあとがあった。


座る前まではなかったはずだけど…なんて思っていると花ちゃんがあたふたしだした。


「ちょ、ちょっと便所行ってくる!」


「お、おう?」


なぜか分からないが急にあたふたしだし、ここから去っていく花ちゃんの後姿を見て、ぼくは彼女が心配になった。


彼女が着ていた着物のお尻の部分が、さっき彼女が座っていたところに付いた赤いものと同じように染まっていたのだ。


もしかして花ちゃんは何かの病気何じゃないだろうか…。


だからあんなお尻から血が…。


考えただけでもゾッとした。


花ちゃんが普通に便所!と言っていることよりもそっちの方が恐ろしかった。


なんてことを再び師匠がぼくと花ちゃんを呼びに来た時に言うと、大笑いされた。


師匠曰く、さっきのことは病気でも死が近いことでもなく、月のものの影響で血が出るらしい。


ほかにも、その影響でお腹が痛かったり、だるかったり情緒不安定になったりするらしい。


だから花ちゃんが急に怒ったことも妙に納得できた。


女性って大変なんだなぁと思った。


だけど男は男で大変な時もあると知るのはまたあとの話。
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