ビロードの口づけ 獣の森編
月明かりの差し込む窓に沿った廊下を少し歩いて、左手の部屋に入る。
部屋の中は闇に閉ざされていた。
闇の中をためらう事なく進んで、ジンはクルミを柔らかな布地の上に横たえた。
ベッドの上だろうと推測するが、すぐさま覆い被さってきたジンに唇を塞がれて、クルミは完全に質問の機会を失った。
激しく唇を重ねながら、ジンは器用にクルミの身に着けているものをはぎ取っていく。
キスの熱に浮かされて、クルミはジンの背中に腕を回した。
先ほどまで背中にあった獣の毛並みがなくなっている。
完全な人型に変化したようだ。
太股の内側にジンの熱い欲望が触れ、身体の中心が熱く疼き始めた。
少ししてジンが唇を離した。
クルミはうっすらと目を開く。
目の前でジンがニヤリと意地悪な笑みを浮かべた。
「今夜は眠らせない。あんたの全てを味わい尽くしてやる」
胸の奥がキュッとなって、鼓動が早くなる。