ビロードの口づけ 獣の森編


 そんな時の母は穏やかな表情を浮かべ心から幸せそうなので、幼いクルミにも父は立派な仕事をしている人だと信じられた。


「お母様がいたから私はここにいます。そしてあなたと出会えました。身体が弱いのに大変な思いをして私を産んでくれた事に感謝しています」


 微笑むクルミにジンも優しい苦笑を返す。


「あんたは本当に純粋だな」


 そう言った後に表情は一変し、ニヤリと笑った。


「だから無性に汚したくなる」


 ドキリとした次の瞬間、ジンはクルミの足首を掴んで片足を持ち上げた。


「きゃあっ」

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