ビロードの口づけ 獣の森編
「誘われたのは初めてだったからな。調子に乗って片っ端から受けてたら、あっという間に五人になってた。これ以上はちょっと厳しい」
それを聞いてミユは再び目をキラキラと輝かせた。
「大丈夫です。私がなりたいのは結月のパートナーではなく恋人ですから」
ザキは怪訝な表情で首を傾げる。
「違うのか?」
「はい。私はザキ様に養ってもらうのではなく対等な立場で末永く一対一でお付き合いしたいんです。今年は子どもを産まないと決めているので結月が終わってからでかまいません」
「一対一と言われてもなぁ。オレはもう他に女がいるぞ」
「来年の結月までは我慢します。でもそれ以降は私だけを見てください」
ミユのこだわりが今ひとつ理解できないようで、ザキは眉をひそめた。