モルフェウスの誘惑 ※SS追加しました。
「あの~
ドーナツ喜んで頂けて
嬉しいんですけど
その杜くんとかの子さんでしたっけ?
の関係はよくわかりました
ただね、
どうして、美登くんの
お姉さんになるんです?
しかも、先程のお話だと
美登くんとかの子さんは
どうやら血が繋がってるとか…
いや、込み入った話に
私が首を突っ込むのも
どうかとは思うのですが
私は美雨ちゃんの
保護者気取りでして
ちゃんと、お話を聞かせて頂きたく…」

黙って話を聞いていた神村が
遠慮がちながらにも
美雨の保護者であるという
意思表示をしっかりと示して言った

そんな、神村に美雨は
心から感謝していた

「あっ、
そうですね
そうそう、ですからね
美登くんの父親と
かの子さんの産みの母親はですね
その昔、恋人関係にありました
ただ、結婚には至らなかった
けれど、別れた後に
かの子さんを身籠っていることに
気付き、自らの身体を犠牲にしながらも
産んだと言うわけです
そして、全てを理解した上で
一ノ瀬夫妻の子として
迎えられるわけですね
美登くんは父親が
かの子さんと別れた後に
結婚された方との間に出来た子供
ということになります
つまり、二人は
異母兄弟ですね」

「異母兄弟…」

杜はそう言いながら
かつて、かの子への思いを
募らせていた自分の姿を
思い出していた

あれほどまでに
かの子へ思いを寄せ
互いに惹かれながらも
『異母兄弟』という
言葉に苦しめられていた頃の自分を…

杜はどうしても
考えずには
いられなかった
その考えが美雨に対して
裏切りとなるのかも
しれないと思ったが
それが一通りの話を聞いて
今、杜が感じる事だった

早くに知っていればーーーー






ーーー俺たちは今頃どうしていたのだろうか





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