モルフェウスの誘惑 ※SS追加しました。
《杜side》


逃げるつもりはなかった
もちろん、迷いが、あるわけでもない
否、そうとられても仕方ないか…

俺はただ、気持ちを
整理したかったんだ

俺の美雨への気持ちは
変わらない

心から美雨を俺は求めている
本当なら
ただ、ただ、抱き合って
美雨への愛情を確めたかった

そして、美雨にも
俺の愛を感じて欲しかった

けれど
それじゃあ、ダメなんだ
って思ったんだ

ちゃんと、
かの子との恋を
終わらせなきゃダメなんだよ

俺だけのことじゃなくて
かの子と共に
俺たちの恋を終わらせてしまわなきゃ
ダメなんだよ

ダメなんだ…

俺はまず
かの子の元へと向かう前に
あるところへと行った

そう
かつて
俺が姿を消した時に
世話になった
あの爺さんの元へと
向かったんだ

あの時のように
誰にも告げずに
出てきた事を
無駄にしないためにも
今の俺にはあの爺さんの
力が必要だった



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