モルフェウスの誘惑 ※SS追加しました。
***
村嶋 美登は
事務所のデスクに座り
器用にボールペンをくるくると
回していた
何か考え事をしている時に
つい、やってしまう
学生の頃からの美登の癖だ
無意識に右手の
親指、人差し指、中指を使い
そして、親指の背を台にして
クルッと回転させるのだ
美登はこれのかなりの達人だった
美登の華麗な指さばきに
クラスメイト達も一目置いていた
そして、その指さばきは
すっかり大人になった今も
健在だった
美登はその手を止めることなく
杜がまた姿を
消してしまったことを
考えていた
美登自身
どう、受け止めたら良いのか
戸惑っていた
自分の起こした行動により
杜は姿を消し
そして、
美雨までもを悲しませることに
なってしまった
もちろん
自分自身もそうであって
美登自身、胸を痛めていた
異母兄弟である
姉、かの子は
結局、一時、拘留されていたものの
神村と美雨が被害届を取り下げたのと
あと、一ノ瀬の家が裏で動いたのとで
取り敢えず、保釈の身となった
世の中、やはり
金と権力が物を言う
ヘドがでる思いだった
美登はそういったことが
まかり通っている
現状に嫌気がさして
どうしても父の跡を継ぐことに
抵抗を感じていた
金と権力を駆使する
弁護など糞食らえと思っていた
しかし、今回ばかりは
その金と権力に感謝した
店舗の襲撃は被害として
大きかったものの
その他は未遂に終わっており
大した、咎めもなく済みそうだった
実はかの子は
婚約者である滝川 敬一郎に対しても
罪を犯していた
大量の睡眠薬を飲ませようと
試みていたのだ
かの子は睡眠薬を粉末にし
上手く滝川に飲ませたつもりだったが
実際は医者である滝川が事前に
ただのサプリメントにすり替えたものだった
当然、滝川も被害届を出す訳もなく
この事を知っているのは
滝川以外には美登くらいだった
そして、滝川はあの日、
かの子の元へ駆けつけた
毒を盛ったと思い込んでいたかの子は
滝川の姿を見たとき
心から安堵しているのが
見てとれた
美登はその一瞬の表情に
この二人にも
まだ、ほんの少し未来が
残されているのではないだろうか
そんな、淡い思いを抱いた
そして、保釈後
かの子は今、
滝川に連れられて長野の別荘にいる
美登は事の発端となる
長野での出来事を
思い返していた
村嶋 美登は
事務所のデスクに座り
器用にボールペンをくるくると
回していた
何か考え事をしている時に
つい、やってしまう
学生の頃からの美登の癖だ
無意識に右手の
親指、人差し指、中指を使い
そして、親指の背を台にして
クルッと回転させるのだ
美登はこれのかなりの達人だった
美登の華麗な指さばきに
クラスメイト達も一目置いていた
そして、その指さばきは
すっかり大人になった今も
健在だった
美登はその手を止めることなく
杜がまた姿を
消してしまったことを
考えていた
美登自身
どう、受け止めたら良いのか
戸惑っていた
自分の起こした行動により
杜は姿を消し
そして、
美雨までもを悲しませることに
なってしまった
もちろん
自分自身もそうであって
美登自身、胸を痛めていた
異母兄弟である
姉、かの子は
結局、一時、拘留されていたものの
神村と美雨が被害届を取り下げたのと
あと、一ノ瀬の家が裏で動いたのとで
取り敢えず、保釈の身となった
世の中、やはり
金と権力が物を言う
ヘドがでる思いだった
美登はそういったことが
まかり通っている
現状に嫌気がさして
どうしても父の跡を継ぐことに
抵抗を感じていた
金と権力を駆使する
弁護など糞食らえと思っていた
しかし、今回ばかりは
その金と権力に感謝した
店舗の襲撃は被害として
大きかったものの
その他は未遂に終わっており
大した、咎めもなく済みそうだった
実はかの子は
婚約者である滝川 敬一郎に対しても
罪を犯していた
大量の睡眠薬を飲ませようと
試みていたのだ
かの子は睡眠薬を粉末にし
上手く滝川に飲ませたつもりだったが
実際は医者である滝川が事前に
ただのサプリメントにすり替えたものだった
当然、滝川も被害届を出す訳もなく
この事を知っているのは
滝川以外には美登くらいだった
そして、滝川はあの日、
かの子の元へ駆けつけた
毒を盛ったと思い込んでいたかの子は
滝川の姿を見たとき
心から安堵しているのが
見てとれた
美登はその一瞬の表情に
この二人にも
まだ、ほんの少し未来が
残されているのではないだろうか
そんな、淡い思いを抱いた
そして、保釈後
かの子は今、
滝川に連れられて長野の別荘にいる
美登は事の発端となる
長野での出来事を
思い返していた