続・結婚白書Ⅱ 【手のひらの幸せ】



翌朝 円華を起こさないように 静かにベッドを抜け出した



「土日の家事は私がやるから」



家事を分担すると決めたのに どこか引け目があるのか

円華は 休日の家事を一人で引き受けていた

今日は特別 これくらい手伝っても文句を言わないだろう

洗濯をして 干して コーヒー片手に ゆっくり新聞を読む


時計を見ると10時過ぎ 

円華が起きてくる気配はない

心配になって寝室を覗くと ちょうど目を覚ました彼女と視線があった



「おはよう 起こした? まだ寝てていいよ」


「うぅん もう起きる うーん よく寝たわぁ 

あら お洗濯してくれたの? ごめんね ありがとう」



寝室の窓からベランダの洗濯物が見えたようだ

ベッドに腰掛けて 円華の顔にかかった髪を手で梳いた



「そんなこと いいけど 胃の調子は大丈夫か?」


「うん 今朝は胃の調子もいいみたい おなかすいちゃった 要は食べたの?」


「コーヒーを飲んだ」



彼女の両手を引っ張って体を起こす 

”ちょっと待っててね すぐ作るから”

俺の耳元でそう言うと ぴょんとベッドを抜け出した

着替える後ろ姿を見ながら 少し痩せたなと思った



「昨日お母さんから電話があったの 漬け物をたくさんつけたから 

取りにいらっしゃいって

それと お父さん 要と飲みたいって言ってたわよ」


「わかった じゃあ あとで行ってみようか 

たまには お義父さんに付き合うか」






円華の実家には 2週間に1度くらいは顔を見せていたのに 

このところご無沙汰していた

お義父さんも お義母さんも 待ちわびていたように迎えてくれた



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