思春期の恋
あんなにちっちゃくて、
泣き虫だった柊司に、
おんぶしてもらう日がくるなんて、
思ってもみなかった。
そんな事を考えられるようになった時、
家の前についた。
ほんの数分のことだったけど、
私には、すごく長く感じた。
家の前で柊司はしゃがんで、
私を下ろしてくれた。
壁を支えに、片足で立った私は、
柊司に頭を下げた。
「ありがとう・・・なんだかごめん」
そう言って顔を上げると、
柊司は目を逸らしてバッグを背中に回した。
その時、柊司のワイシャツの、
胸の部分や、
肩の部分に
赤く点々と血がついているのが見えた。
私は、自分の手の平の傷を見た。
・・・やば・・私の血が・・・
「じゃあな」
「ちょっと・・・しゅ・・・」
柊司はちょっと不機嫌な顔で振り向いた。