◇◆近未来科学商品◆◇【CANDY】


ごめんね、先生。

あたしがポケットから飴を出さなければ…。


あたしが橘先生とぶつかっても、飴だけは落とさなければ……。




後悔だけが、心の中に渦巻いていく。




先生。

あたし、先生の役に立ちたかったのに……。




本当にごめんなさい。



「後藤??どうした?」


先生の声を聞くたび、あたしだけ飴を舐めているのが申し訳なくて、俯きがちになっていると、上から、先生の柔らかい声色が聞こえてきた。



あぁ。やっぱり先生は優しい先生だ。


あったかい声、安心する声。






先生……大好きです。


溢れ出す気持ちが、口を開けば出てきそうで……

だから、あたしは口をかたく“への字”に曲げて口を開けることをしなかった。



「後藤?気分でも悪いのか??」



先生が優しくて、鼻の奥がツンと痛くなった。


泣いてしまいそうだ。



先生は困ったように眉を下げ、
「顔が赤いし、少し涙目になっているな……」

というと、

「保健室に行って休んできなさい。担任の先生には私から話しておくから」
と声をかけてくれた。

< 22 / 46 >

この作品をシェア

pagetop