◇◆近未来科学商品◆◇【CANDY】
ごめんね、先生。
あたしがポケットから飴を出さなければ…。
あたしが橘先生とぶつかっても、飴だけは落とさなければ……。
後悔だけが、心の中に渦巻いていく。
先生。
あたし、先生の役に立ちたかったのに……。
本当にごめんなさい。
「後藤??どうした?」
先生の声を聞くたび、あたしだけ飴を舐めているのが申し訳なくて、俯きがちになっていると、上から、先生の柔らかい声色が聞こえてきた。
あぁ。やっぱり先生は優しい先生だ。
あったかい声、安心する声。
先生……大好きです。
溢れ出す気持ちが、口を開けば出てきそうで……
だから、あたしは口をかたく“への字”に曲げて口を開けることをしなかった。
「後藤?気分でも悪いのか??」
先生が優しくて、鼻の奥がツンと痛くなった。
泣いてしまいそうだ。
先生は困ったように眉を下げ、
「顔が赤いし、少し涙目になっているな……」
というと、
「保健室に行って休んできなさい。担任の先生には私から話しておくから」
と声をかけてくれた。