† of Human~人の怪異
異様なはずが、桜庭のあまりに平然な態度で、そう見えない。
対峙している上野までもが、目にしているものをある種の『普通』だと見ている気がした。
図書委員の上野楓が、五メートルと離れていない異形の友人へ言う。
「アナタは教会の条約に違反しています。ただちに凶行をやめてください」
(教会の条約? ……なに言ってんだ、上野さん)
少年の抱いた疑問を、同じように、蛇を従える委員長も抱く。
「上野さん、教会とか条約とか、意味がわからないよ」
そして、
「とりあえず――君の目、すごく腹立たしいね」
「凶行を、やめてください」
「君も、食べちゃおうか」
彼女の言葉を無視、拒否する。
桜庭の真横で待機していた蛇頭が直後、大顎を開いて少女へ突進した。
「上野さんっ!!」
と危機を叫ぶ声は、和幸のものだけ。
笑う桜庭、屹立する少女、そして自分以外にもはや、クラスにはだれひとりとしていない。
無理やりに経緯を頭から排除して、桜庭紅蓮に全員砕かれてしまった、食われてしまったという『事実』だけ、和幸は理解した。
理解してやった。
対峙している上野までもが、目にしているものをある種の『普通』だと見ている気がした。
図書委員の上野楓が、五メートルと離れていない異形の友人へ言う。
「アナタは教会の条約に違反しています。ただちに凶行をやめてください」
(教会の条約? ……なに言ってんだ、上野さん)
少年の抱いた疑問を、同じように、蛇を従える委員長も抱く。
「上野さん、教会とか条約とか、意味がわからないよ」
そして、
「とりあえず――君の目、すごく腹立たしいね」
「凶行を、やめてください」
「君も、食べちゃおうか」
彼女の言葉を無視、拒否する。
桜庭の真横で待機していた蛇頭が直後、大顎を開いて少女へ突進した。
「上野さんっ!!」
と危機を叫ぶ声は、和幸のものだけ。
笑う桜庭、屹立する少女、そして自分以外にもはや、クラスにはだれひとりとしていない。
無理やりに経緯を頭から排除して、桜庭紅蓮に全員砕かれてしまった、食われてしまったという『事実』だけ、和幸は理解した。
理解してやった。