† of Human~人の怪異
そして、

「粛正!」

少年の眼前にまた、別の事実が突きつけられる。

   ジッケンヨク
「〝十 剣 翼〟!!」

四半秒で、

「は?」

大蛇の頭が、バラバラにされるという形で。

目を見張った和幸の眼前で、屹然たる少女の直前で、なます切りにされた肉がぼたぼたと教室の床に落ちる。

床は一面、赤く淀んだ湿地帯になっていた。

ぶくぶくと泡を立てて、細切れの蛇が血溜まりへ溶けていく。

あまりの気味の悪さに、和幸はむしろ、目を閉じることすら忘れた。

腰が抜けたとも違う。

ただ、呆気に取られた。

大蛇――もとい、両腕を失った桜庭が雄叫びをあげる。

「なっ、なっ、なにが、なんで……!? ぼ、僕の腕ええええ――!!」

だばだばと血を流出させながらのたうつ、丸太のような蛇の胴。

そして出血の痛みに悶えている桜庭。

和幸はその苦悶の顔と声で、あの蛇の頭がやはり、桜庭の腕そのものなのだと改めて認識させられる。
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