Who am l?
「おい、おせーよ。」
私の頭に、神崎がポン、と手を置く。
髪の毛からは感じないものの、その手のひらが暖かいのは分かった。
「終わったぞ。衣装の貸し出しの手続き。」
そう言いながら神崎は、携帯を握りしめながら俯く私の顔を覗きこんだ。
私はとりあえず笑顔を作って神崎の顔を見上げた。
「あ…ごめん。久しぶりに中学の友達から掛かってきたもんだから……」
私は不安になる。
この笑顔が偽物だと、バレていないだろうか、と。