Who am l?

私の前を、沢山の人々が行き交う。


秋の夕方。

私は、外国風の店の煉瓦にもたれかかる。


朝、ポケットに入れたカイロがいい感じに温かい。


左手でカイロを握りながら、右手で携帯を握りしめる。


冷たい風が、露出した足をくすぐる。


秋空の下、耳の近くでは峰子の甲高い声が鳴っている。


行き交う人々は――…笑っている。


焦っている。
疲れている。


私は――…悲しい。
この路上で、ただ一人。


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