Who am l?
「なんで、そ、そんな所にいんのっ!コッチ来て、……峰子。」
口では少し強気な事を言いながらも、足は分かりやすいくらいに震えている。
手はしっかりとドアを掴み、今にでも怯え死にしてしまいそうだ。
「…迎えにきてよ。」
我ながら最低な事を言うなあ、と思う。
風が自分の為にここまで来てくれた事すらも、風にとっては凄い事なのに…
事があって以来、風は一切屋上が駄目になった。
屋上に上がると毎回発作を起こすか、気絶してしまうかで、いつしか今のように屋上を見るたけでも動悸が激しくなり、脈拍が急激に上昇してしまったりもしていた。
屋上どころか高いところも無理になり、事が起きてから一年後に行った遊園地でも、風が観覧車に乗る事はなかった。