恋路
態度とは裏腹に、心の中ですごい喜んでる自分がいるように思えるんだけどー……。
まさかね?毎日部活で最近遊んでなかったからね。
だから、ちょっと楽しみなだけで……
「明日美、手止まってるよ!
急いで、急いで!!早く宿題終わらせないと♪」
「えっ?あぁ…」
…なんか今楽しい。
プールのことで頭いっぱいだよ!
宿題なんて、手つけらんないし。
『ブーッ ブーッ ブーッ』
「あっ♪
孝志からきた〜!!」
えっ?!
純ちゃん、もうメールしてたの?!
「【俺は全然大丈夫!今から亮に聞いてみるわ!】だってさ♪やった〜!もう決まったようなもんだね♪」
純ちゃんは嬉しそうに携帯を握り締め、あっちゃんに返信をしていた。
じゅ…純ちゃん。
あっちゃんのことになると本当に素早いんだから。
「プール♪
孝志とプール♪♪」
「純ちゃん、そんなにあっちゃん好きなら告ったら?
2人でデートすりゃいいじゃん。」
あっちゃんとの口実にされていることに少し腹が立ち、ちょっと反抗的な態度で言い放った。
「えっ?!
むむむむむ!無理だよ!」
「なんでよ?」
「だって……。
恥ずかしいしさ。
絶対無理だもん!
無理なら今の関係で十分だし。」
なんで?
好きなら『好き』って言っちゃえばいいのに。
無理とか分かんないしさ!
本当の恋をしたことがなかった私には、純ちゃんが告白しないことが不思議でたまらなかった。
…早く言っちゃえばいいのに。
無理と思うなら何で諦めないの?
私はまだ『恋』がどんなものか全然分かっていなかったんだ。
どんなに辛くて、どんなに悲しいものか。
その時はただ『恋は幸せなもの』としか思えなかった。
それから数分後に届いたあっちゃんのメールで約束が成立し、夏休み最後の31日に最近出来たばかりのプールに行くことになった。
純ちゃんの前では平常心を保っていながらも、もうその頃から私の中では何かが変わりつつあったんだ。