恋路
8月31日。
朝、いつもより早く目覚めてしまった。
まるで旅行にでも行くみたいに。
「よしっ!」
身支度を終え、早々と家を出る。
お気に入りのワンピースに赤いミュール。
馴れない化粧でまつ毛がグッと伸び、口元はピンク色に。
頬はいつの間にか赤く染まっていた。
…里中君との出会いは印象的だったなぁ~。
私が早く着いてなかったら、あんな出会い方しなかったんだよね?
あの時は早く来すぎた自分に後悔したけど、今考えれば良かったなぁ♪
今日もいいことあるかな?!
……なんて期待しすぎだよね。
妄想を膨らましながら待ち合わせ場所の公園へと向かう。
「七瀬…?」
さささっささささっっ!
里中君だ!
「おっ!おはよう!」
「おはよ!なんか私服だと誰だか分かんなかったし。」
「えっ?そう?」
「その格好。超涼しそう。」
「うん。涼しい…かな?」
これって褒められてる?
「てかさ。お前って来るの早ぇーよな。」
「えっ?!…そうかな?……って!里中君も早いじゃん!」
「「………」」
「…っぷ。
はははっ!俺そのツッコミすげぇー好きだわ!」
「ツッコミ…?……て!ただのノリツッコミじゃん!」
「それそれ!なんかの芸人のマネ?」
「ちがいますー!!」
私ってやっぱりお笑い担当なの?!
「最近バスケどうよ?」
「えっ?あ……。全然ダメ!基礎がなってないってゆうかさ。」
「そうなんだ?こないだフリースロー決めてるの見たけど?」
えっ?
里中くん、見てたんですか?!
やだっ!超恥ずかしいよっ!
「初心者にしては上手い方なんじゃない?バスケ向いてると思うよ。……って、俺何様なんだよっ。」
「…あーっ!一人ツッコミだっ!」
「笑うなって!!」
こんなしょーもない会話がすごいたのしかったり。
里中くんと喋ってると、笑顔になりたくなる。
なんか幸せ。
純ちゃんとあっちゃんを邪魔者にする訳じゃないけど……
ちょっとだけ。
このままの時間が続いてほしかった。