君のいる世界




「俺は生徒会室に戻るわ。山下、早く冷やした方がいいぞ」



「そうだ!早く保健室行かなきゃ!!」



会長は「じゃあな」と手を挙げて校舎の中に入って行った。




「会長、何しにここまで来たんだろ?」



山下さんが屋上の扉を見つめながら不思議そうに首を傾げて呟いた。


確かに、これじゃ笑いに来ただけ…




ふと視界に黒い物が目に入る。



「あ…鞄…」



会長がさっきまでいた扉には私のスクール鞄が立て掛けられてあった。


直様、鞄に駆け寄り手に持つ。




そっか…私、生徒会室に鞄忘れて…


わざわざ探して持ってきてくれたんだ。




「ふふ。別に後でも良かったのに」



そう言いながらも会長の気遣いが嬉しくて笑みが零れた。




私はにやけ顏をぐっと抑え、屋上を後にした。




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