君のいる世界




「…っ、麗奈はたった一人しかいないんだよ…道具みたいに代わりなんてないの……私にとって麗奈は…大切な親友なの…だから…復讐の道具だなんて、そんな悲しいこと言わないでよ…」



佳菜子は私を再び抱き締め、私の肩に顔を埋めた。




佳菜子の肩越しに見える夜空には、月は神々しく、無数の星はひっそりとだけど美しく輝いている。


さっきまで全く光なんて見えなくて、闇のように真っ暗だったのに。




叩かれた右頬は気が付いたら燃え上がるような熱を帯び、ビリビリと電気が走ったように痛かった。




ああ、私…生きてる。


ちゃんと感情もある、痛みも感じる。


何かの道具でも操り人形でもない。




私は私なんだ。




私は佳菜子の背中に腕を回し、片方の手で頭を撫でた。




“ありがとう”と、気持ちを込めて。






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