君のいる世界
「麗奈、誕生日おめでとう。俺、誕生日だったって知らなくて何も用意してないんだ。何が欲しい?」
「もう貰ったよ。凄く素敵なもの」
「素敵なもの?」
私は腰に回された会長の手を取り、両手でギュッと握る。
「会長の気持ち」
それがあれば、私は他に何もいらない。
ドラマのワンシーンのようだったあの告白は、私の一番の宝物として胸に大事に閉まっておこう。
例えこの先何があっても、この宝物がある限り乗り越えられる。
私の肩に顎を乗せた会長は「ふっ」と笑った。
ちらっとすぐ近くにある会長の横顔を見ると、会長は目を細めて幸せそうな表情を浮かべている。
そんな会長に、私の胸はキューッて締め付けられた。
言葉では表せられないぐらい会長が好き。
どうすれば会長に私の想いが全部伝えられる?
いっそのこと心の中が覗けるようになればいいのに…