† of Ogre~鬼の心理
僕の分身が、突進の勢いは殺さず、黒い粒子となる。

女の攻撃の一切を文字通りすり抜けた霧は、そして集結、実体となる。

狼。凶暴に大口を開けた獣が、女を襲撃する。

女は踏み込んで腕を振り抜いたまま、次の動きが取れない。

狼を避けられない。

「!? っきゃああ……!!」

いっそかわいい、ただの悲鳴が、ひとつ。

狼のアギトが、女がとっさに突き出した右腕を丸かじりにしたんだ。

思念体といえど、あの仁でさえ生身と勘違いした、高濃度の存在。

そのせいか、もう死しているというのに女の腕から噴出する血飛沫の、なんて鮮やかなことだろう。

こんな状況でなければ、たとえ幻に等しいにしても、その紅でぜひ一服したいとさえ思う。

「っ、こんな、」

「?」

けれど――

「も、の……!」

「!!」

やっぱり、そんなに悠長にしている状況ではないらしい。
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