† of Ogre~鬼の心理
女は片腕に食いつかれながら、もう一方の手で狼の頭を掴んだ。

女の力が、ゼロ距離で炸裂する。

これもまたただの憐れな悲鳴を響かせて、狼は散り散りに吹き飛ばされてしまった。

黒い粒子が断末魔と血飛沫のように空間を踊り、待って回って、僕の右腕へ帰ってくる。狼に分配していた肉体が戻ってきたところで、僕はひとつ苦笑を漏らした。

さっきあれほど血を吹き出していた女の腕が、まったく綺麗に戻っている。闇にあってなお映える純黒のワンピースさえ修復されている。

どこかにいる本体での、思念体再構築、か。

一度見たなら驚かない。タネも割れている。

それでも、苦笑を漏らさなくちゃならないほど厄介な能力だった。

「一筋縄じゃいかないなぁ、これはぁ」

「わたくしを侮ってもらっては、困るわ」

「あ、今の聞こえた?」

「……」

敵とは無駄口を聞かないのか、こっちからの質問は無視された。

どうしてこう、僕の周囲の女性はみんな、黙っていると美人とか、愛想がよければかわいいというカテゴリーが多いのだろう。

女運がないのか、僕は。余計に苦笑してしまう。
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