† of Ogre~鬼の心理
狼の突貫攻撃が成功しても、女は構わず反撃を仕掛けてくる。たとえ重傷を負っても、今のように瞬間的な思念体の精製と存在の入れ換えが行われたんじゃ、意味がない。

本体を倒さなければいけない、この女を何人叩いても意味がない。

最初からそうわかっていても、この女だって軽くあしらえないことが、ただただ厄介だった。

(やっぱり、まずは真輝ちゃんの回収か。そしてトンネルから出て、仁と連絡を取ろう)

幸いにして女は、今の交戦で真輝ちゃんから少し離れている。

試しに一歩、下がってみた。女が一歩、踏み出してくる。

よし。彼女の標的は今、倒れている真輝ちゃんから僕へと入れ替わっている。なら、途中で真輝ちゃんに矛先が返ることはないだろう。

一撃離脱で、真輝ちゃんを回収、救出する。

「小細工なしで、いこうか」

、、、、、、
あえて言って、僕は腰を落とした。

深いスタンディングスタートの格好から、コンクリートを蹴る。

僕と彼女との距離はもはや十メートルない。僕にとってそれは、容易い一歩でしかない。

地面はたしかかにコンクリートなのに、まるでスポンジでも踏んだようにへこんだのは、僕ならではの感覚か。
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