† of Ogre~鬼の心理
「そうだ、たしか錫杖とかいう!」

「聖音よ!」

「!?」

女が、一喝とともに錫杖の石突をコンクリートへ叩きつけた。

衝撃が杖を下から上へ走り、繋げられていた鈴と金の環が一斉に跳ね上がる。

しゃーん。

と、死者すら目を覚ましそうなほど清らか過ぎる鈴の音が一閃、咲いた。

僕の眼前、音の衝撃波となって。

「ぐっ……!?」

魔法魔術など、非物理的な干渉はたしかにキャンセルすることができる。

けれど『音』というのは空気の震動であって、その振幅はエネルギー僕にしっかりと伝わってくる。

まったくの新手による不意打ち、真輝ちゃんを抱えていたせいもあって、僕は易く十メートル強を吹き飛ばされた。

かろうじて足から着地する。踏ん張った革靴の裏が擦れて、焦げ臭いにおいが漂った。あまり好きじゃない、ゴムの焼けるにおい。

それでなくとも、女の強襲につい、味気の悪い笑みがこぼれてしまう。
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