† of Ogre~鬼の心理
仁から聞いたことなのだけれど、『運命』とはそう都合のいいものではないし、そして実は、ひどく変幻的であるらしい。

運命は、用意されているわけではない。自ら切り開いていくものでもない。

ヒトが想像し、小さくとも願った道のことだと、仁は言った。

願ったものが、ヒトの前に道となる。

なんとも祈祷じみていると思った私に、仁はこう笑ったものだ。

「そりゃあそうだろう。お前、運命ってのは魔法もなにも使えない人間が唯一自分にだけかけることのできる、最大の暗示にして最強の術だぞ」

そんな、最強の術を行使している風間が、私から離れる運命を生み出すかどうか……

実に小難しい確率の話だった。
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