ハニー・トラップ ~甘い恋をもう一度~
「梓さ~んっ、おっはよ~」
私に向かって勢い良く走ってきたと思ったら、そのままガバっと抱きつかれてしまった。
可愛い彼女の目の前での行為に焦ってしまい何とか離れようと試みたけれど、全く歯が立たない。
顔を少し横に向けて何とか彼女の顔を見れば、楽しそうに笑っていたから一安心なんだけど……。
これで機嫌悪くさせちゃったら、第一印象最悪になってしまうからね。
「雅哉くんっ、おはよう。ねぇ、そろそろ離してくれない? ほら、彼女が心配しちゃうでしょ?」
「麻衣? 麻衣は大丈夫。俺が梓さんを気に入ってること知ってるから」
って、おいおい。そういうことじゃないでしょっ!!
顔では笑ってても、心の中まで見えるわけじゃないし……。
このままでは埒があかなくて困っていると、店に荷物を置いて出てきた遼さんが私たちに気づき、慌てて走ってきた。
「おい雅哉っ、何やってんだよっ!!」
雅哉くんを力任せに引き離すと、私を庇うように抱きしめた。
「遼兄、過剰に反応し過ぎ。ちょっとしたスキンシップでしょ?」
「お前のスキンシップは激し過ぎ。それに、麻衣ちゃんが可哀そうだろ」
「あっ、いえ……。遼さん、私は大丈夫ですから」
「いやいや、麻衣ちゃん。ここはちゃんと雅哉に言ってやらないと」
なぁ? と私に同意を求める遼さんに頷き返し、麻衣さんを見た。
「えっと、梓さんですよね? 初めまして。私、園田麻衣と言います。いつもマーくんがお世話になってます」
ペコリと頭を下げられて、慌てて遼さんから離れた。