† of Pupil~瞳の魔力
「賢一、その力はいずれ定義される。善か悪か、正か負か、お前の存在意義と人生公式。命運と宿命がそれを決する。なあに、難しいことじゃない。実は結論なんてもんは、†がとっくに握ってる」

不思議な言葉だと、今でも思う。

定義されるという言葉もそうなら、いったいどれほどの意味を内包しているか計り知れない、†という単語も、不思議だった。

僕に告げられた†の意味が、運命なのか、未来なのか、未知なのか、いまだに汲み取れない。

不思議すぎた。

そもそも、†とはなんなのだろう。

聞き取ることはできた。

意味もわかった。

だけどどうして僕は、あの時、そんな難しい言葉を知っていたんだろう。

いや、不思議といえばそもそも、あの人そのものが不思議だったんだ。

なにせあの人は、自分を魔法使いと言っていたから。

実際に、あの人が魔法を使っているところを見たことはなかったけれど。
< 116 / 252 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop