『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
…むろん諷馬のように生駒の屋敷には色んな理由で…身よりもわからぬやや子が置き去りにされる事も少なくなく…生駒の屋敷に従事ている…表向き旅商いを稼業としていたややが出来ない夫婦のとこにもらわれた後…なぜか忍びとして生駒の屋敷に出入りして仕えている事が多かった。
そんな理由もあり諷馬は…その年に身よりがなく商いにもらわれた同じ年の5人と一緒に忍びとして生駒の屋敷に幼い頃から商いとして出入りして仕えていたところ…暗殺から逃れ城下町でふらつき遊んでいた幼いうつけの殿と出会い…生駒の屋敷に出入りするようになったと兄…八右衛門から聞いた事があり…今思えば私と殿を結びつけるキッカケを運んできてくれた恩人とも言えるかもしれない。
「肴がいるという事は…殿の悪口も耳に届いておるやもしれませぬね!!」
濃姫が軽口を叩きその場を和ませた。
「その点は…心配ご無用でございます…。
殿がここに足を運んでいない事が何よりの証拠…。」
軽口に合わせて諷馬も濃姫に答えて私達は…可笑しくて顔を見合わせて笑った後…。
「先程の使いの者は…?」
濃姫が声を潜めて尋ねた。