ふたり輝くとき

迎え

「ねぇ、やっぱりクラドールに診せた方がいいんじゃないの?」

クリスティーナがサラの額に当てたハンカチを冷やしながら言った。それもすぐにサラの体温で温まってしまうだろう。

ユベールは膝に乗せたサラの頭を優しく撫でながら、首を横に振る。

事情を掻い摘んで説明したら、意外にもクリスティーナはユベールたちを匿ってくれた。

彼女はマーレ王国の王女。3人兄妹の末っ子で、海岸をうろついていたことからもわかるように活発な娘だ。極秘部隊を追い払った後、クリスティーナの案内で先ほどとは違う洞窟まで来ることができたし、彼女は洞窟の壁に呪文で氷を張ってくれた。

サラは興奮して気を放ったせいで、あの後すぐに意識が途切れるほどに熱が上がってしまった。もう3日ほどこの場所に身を潜めているけれど、下がる様子はなくて。

クリスティーナは毎日少しの食事と水、サラのために解熱の薬を持ってきてくれるけれど効果はないようだ。

「そんなこと言ったって、サラ、とても苦しそうだよ」
「普通のクラドールじゃ治せない」

ユベールは洞窟の壁に背を預け、息を吐いた。

「普通の、って……ここはマーレだよ?“普通”のクラドールだって十分優秀だわ」
「原因がわからなくても、治せるクラドールがいるわけ!?」

思わず声を荒げてしまい、ユベールはフイッとクリスティーナから顔を背けた。
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