ふたり輝くとき
「ユベールと何かあった?」
「え……あの、っ」

ロランがそっとサラの頬に手を添えてきて、サラは身を硬くした。

この人は、敵か味方か……ジャンが彼を推しているのなら、味方?でも、ユベールにサラのことがバレたことを知っている時点で、敵?

サラが迷っているとロランがフッと笑った。

「泣きそうな顔をしているよ」

ドキッとする。笑った顔がやっぱりどことなくユベールに似ていて……そんなことを思ってしまうのは、先ほどあんな風に出てきてしまったせいなのだろうか。

「サラはユベールのことが好きなの?」

肯定も否定もできず、サラは俯いた。

好き、とは違うのだ。ユベールに対しての気持ちは、王子様への憧れであって恋とか愛とかそういう類のものではないと思う。だからといって嫌いというわけでもないし、もし嫌っていたとしてもそれは口に出してはいけないことだ。

「ごめん。意地悪な質問だったね」

ロランはサラの頭を撫でて、そのまま手を滑らせて髪に指を絡めていく。

「綺麗な髪だね?」
「っ、ロラン様」

ロランの唇がサラの髪に触れた。そして、そのこげ茶色の瞳がサラを映す。

サラは不思議な感覚に戸惑う。サラに触れているのは、サラを見つめているのは、確かにロランなのになぜかユベールの姿がチラつく。

(どうして……)
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