ふたり輝くとき
「俺なら、サラをこんなところに追いやったりしない。ずっとそばにいてあげるよ。君を、お姫様にしてあげられる」

サラの耳元で囁くと、サラがビクッとする。

随分敏感なようだ。

抱きしめた身体も、細い割にその存在を主張する膨らみが柔らかくロランの胸に押し付けられて、腰から緩く描かれた曲線の先にも男を誘惑するのに十分な肉付き。

ドレスから覗く肌はとても白く、その下の肌の色を想像させる。

この長く真っ直ぐな金色の髪がシーツを泳ぐとき、サラの小さな赤い唇からはどんな声が漏れるのだろう。

「俺は反対だった。最初から俺のもとへ呼ぶべきだった」

ロランはそっとサラから身体を離し、青く澄んだ瞳を覗き込んだ。

「君は素直で嘘がつけない子だ。ユベールにも、バレてしまったんだろう?」
「それ、は……」

口ごもるサラに、ロランは続ける。

「君を道具のように扱うことはしないと約束する。俺と一緒に、新しい時代を築いて欲しいんだ」

サラは困惑したような顔でロランから視線を逸らした。

「……よく考えて返事をくれればいいよ。だから、またここで会える?」
「私――」

言いかけたサラの唇に人差し指を当てて言葉を止めた。

「サラがここに来てくれなくても、俺が君に会いに行くよ。じゃあまたね、サラ」

チュッと、頬にキスを落としてロランはその場を離れた。それがきっと、サラの理想の王子様だから。
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