ふたり輝くとき
「ダミアン様が?」
「はい」

なぜ、国王自らサラに会おうというのだろう。確かに、サラはユベールの妻ではあるけれど、顔合わせならば婚約の儀でも済ませているし結婚式でも会った。

『ダミアン様のお部屋へ招かれたら逆らってはいけません』

ふと、アンナに言われた言葉を思い出す。

サラは首を振った。

まさか、そんなはずはない。サラはユベールの妻なのだ。息子の妻に手を出すようなことはしないだろう。

けれど、それならばサラを呼び出す理由は何なのだろう?ダミアンにも国王としての執務があるはずだ。わざわざ呼び出されるのは、よほど大切な用事……?

サラは息を呑んだ。

もしかして、ジャンの計画がバレてしまったのだろうか。だから、ユベールを殺すという目的で嫁がされたサラに真実を問うために呼び出されているのかもしれない。たとえ、サラにそれができないとしても……

そう思ったサラはグッと手を握り締めて頷き、立ち上がった。

「っ、サラ様!?お待ちください!」

片付けのためにまだ部屋に残っていた世話係の侍女が血相を変えてサラの腕を掴む。

「貴女は自分の仕事をなさい」

ダミアン付きの侍女が彼女を睨みつける。

「大丈夫です。すぐに、戻ってきますから」

サラは心配そうな顔をする侍女に微笑んで部屋を出た。

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