理科室のオルガン
結局あの場はチャイムがなり解散。
授業中、後ろの席の江夏が手紙を回してきた。
【しゅうやんしゅうやん!
あともう一つあるんだけどね!
家庭課室に……。
な……
な……
なんと……】
続きかけよ!
しかも科の字間違ってるし!
後ろをチラリとみると江夏は「てへぺろ」のポーズ。
殴り倒してやろうかこの野郎。
そして新たな手紙を渡してくる。
【家庭科室に……
人体模型があったんだよ!】
……ぐしゃり。
私は無言で前の手紙もろとも握りつぶす。
そして床へポイ捨てした。
お前を人体模型にしてやろうか。
どうせ服を作るのにマネキンが足りなかったからとかそんなのだろう。
(捨てないでよぉ~~)
江夏が小声で言いながら拾う。
(ねぇねぇ、いつもおもうんだけどさ。
なんで柔沢さんと桃晴さんって一緒にいるの?
性格正反対じゃん)
どこからか聞こえてくる声。
(さぁ?
柔沢さん明るいから、お情けじゃない?)
くすくすとイラつく笑い声。
噂をされている江夏の耳には全く届いていない。
はぁ。
私は誰にも聞こえないようにため息をつく。
その後にまだ話を続けている女子生徒を睨む。
こちらの視線に気付いたところで、満面の笑みをプレゼント。
(ね、ねぇ!
なに笑ってんの? キモくね?)
(しらねーよ!)
たいていの人はこれで何も言わなくなる。