君と、世界の果てで
「本当に?」
「あぁ」
「じゃあ、何で別れちゃうの?
じゃなくて……別れてしまうんですか?」
「タメ語で良いって」
いつの間にか、深音の家の近くに着いて、車を停めた。
「もしかして、浮気?」
「バカ。ちゃんと別れたら、話す。
それまで、他のやつにも余計な事、言うんじゃねぇぞ」
「はい。おやすみなさい」
「家に入ったらメールしろ」
「はい、お兄ちゃん」
深音はクスクス笑って、高い靴をポクポク鳴らしながら、帰っていった。
誰がお兄ちゃんだ。
少し過保護か、とは思うが。
浮気?
と聞かれて、一瞬ドキリとした。
浮気は、してない。
けど、こうして、彼女とは違う女の子を、家に送っている。
「考えるな!」
思考が、危険信号を出す。
気づいてはいけないと。
ブツブツ言いながら、車を方向転換させると、携帯が鳴った。