君と、世界の果てで


「本当に?」


「あぁ」


「じゃあ、何で別れちゃうの?

じゃなくて……別れてしまうんですか?」


「タメ語で良いって」



いつの間にか、深音の家の近くに着いて、車を停めた。



「もしかして、浮気?」


「バカ。ちゃんと別れたら、話す。

それまで、他のやつにも余計な事、言うんじゃねぇぞ」


「はい。おやすみなさい」


「家に入ったらメールしろ」


「はい、お兄ちゃん」



深音はクスクス笑って、高い靴をポクポク鳴らしながら、帰っていった。


誰がお兄ちゃんだ。


少し過保護か、とは思うが。


浮気?


と聞かれて、一瞬ドキリとした。


浮気は、してない。


けど、こうして、彼女とは違う女の子を、家に送っている。



「考えるな!」



思考が、危険信号を出す。


気づいてはいけないと。



ブツブツ言いながら、車を方向転換させると、携帯が鳴った。


< 118 / 547 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop