君と、世界の果てで
「わかった……善処する」
「やったぁ!」
深音は喜んで、ぴょこんと飛び上がった。
「じゃあ、早速ですが」
「へぇへぇ。何だよ」
「……手、つないで……ください」
「へっっ?」
思わず、マヌケな声が出てしまった。
深音は、頬をほんのり桃色に染めている。
「……しょうがねぇな……」
怪我をしてない左手で、深音の右手を握って。
なんだか恥ずかしくて、顔を見ずに歩き出した。
斜め後ろから、いつもの靴がポクポクと鳴る音がする。
そのテンポがちょうど良くなるように、歩幅を調節した。
「デートみたいですねっ」
「そうだな」
「うわ、テキトー」
そんな何気ない会話をしながら、水族館に入った。
昨日の事に、触れた方がいいのか。
触れない方がいいのか。
判断しかねたまま。
ただ、彼女の細い手を離さないように歩こうと、決めた。