君と、世界の果てで



……聞き間違いだと思った。



ありえない。



夢か?



「……初めて会った時から、格好良い人だと、思ってました……」



初めて会った時。


ライブの後で、陸に深音を紹介された時。



彼女は、今と同じようにただ赤くなって、うつむいていたっけ。



「……まさか……」



陸ならともかく、自分が一目惚れされるなんて、ますますありえない。



「嘘じゃ、ありません。

ベースを弾いてくれる事になった時も、本当は、嬉しかった。

そのベースが神様みたいだとわかった時に、ますます好きになったの」


「神様は、言い過ぎだろ……」



深音は、いつの間にかまた、涙目になっていた。



「だって、そう思ってるんだもの……」



うつむいた深音は、本当に、普通の女の子だった。



そんな彼女を見ていると、驚きが、実感に変わっていく。


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