君と、世界の果てで


「昨日、翼さんが助けてくれて、これはもう、運命だと思ったの」


「運命って……いちいち大げさだな……

恥ずかしくないのかよ……」


「恥ずかしくない!

明日死んじゃったら、もう言えないもん!」



……がちゃり、と。


理性の鎖が千切れる音がした。



泣いて大きな声を出した深音を。



その、細すぎる体を。



思わず、抱きしめていた。



「死ぬとか、簡単に言うんじゃねぇ……!」



自分の声は、思ったより低く響いた。



「翼さん……っ」



きつく抱きしめられた深音が、驚いたような、苦しそうな声を漏らす。



「今度言ったら、怒るからな」


「だって……」


「だって、じゃねぇ!」



許さない。



こんなに、俺の心を蝕んでおいて。



一人で死ぬなんて、絶対許さない。




その金髪に指を絡ませると。



深音が、思わず顔を上げる。



その一瞬で、美しい唇を、奪った。


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